その9 未破裂脳動脈瘤がありますがサウナや入浴は大丈夫?

「未破裂脳動脈瘤があります。サウナや入浴は大丈夫ですか?」

この質問はとてもよくいただきます。調べた範囲でお答えします。

基本的には「入浴もサウナもOK」

未破裂の脳動脈瘤があるからといって、サウナや入浴を避けなければならないわけではありません。入浴やサウナが破裂を直接増加させるなどといった明確なデータはありません。

むしろ、実際、医学的にも「毎日入浴する人の方が脳卒中が少ない」とする報告もあります(くも膜下出血は増減無しとされています)。

ただし、以下の点には注意が必要です!

  1. 熱すぎるお湯・サウナは避ける
  • 42℃を超えるお湯や高温のサウナ(90℃以上)では、血圧が急激に変動する可能性があります。
  • お湯は38~40℃程度のぬるめが理想。サウナも短時間にとどめる方が無難です。
  1. 急な温度変化はNG
  • 冬場の寒い脱衣所から熱い浴室、またはサウナ後の冷水浴は、血圧の急上昇を招きやすく、お勧めできません
  • 脱衣所や浴室を温め、寒暖差を少なくする工夫をしましょう。
  1. 長風呂・長時間のサウナも控えめに
  • 長時間の高温環境は、脱水や血圧の変動を起こしやすくなります。
  • 10分以内で切り上げ、こまめに水分をとりましょう。

📚 医学的背景と研究

  • Ukai T et al., Heart 2020;106:732–737(日本の研究)
     → 入浴頻度とくも膜下出血の発症リスクには関連が見られず、毎日の入浴でもリスクの増加は確認されなかった。
  • Li et al., J Clin Hypertens. 2022;24:861–869.
     →くも膜下出血の引き金となる要因の一つに急激な温度変化があり、特に冷水や高温の入浴が血圧を大きく変動させるため、極端な温度の入浴は避けるよう推奨されている。

まとめ:安心してお風呂やサウナを楽しむために

やっていいこと避けたいこと
38~40℃のぬるめの温度設定熱すぎるお湯(42°C以上)・高温のサウナ
短時間の入浴・サウナ長時間の入浴・サウナ
脱衣所の温度を適度に保つ冬の寒い脱衣所など
毎日の入浴飲酒後や体調不良時の入浴

未破裂脳動脈瘤があるからといって、入浴やサウナを怖がりすぎる必要はありません。

しかし、血圧の急な変化に注意しながら、無理のない範囲で楽しむことが大切です。