兵庫医科大学の吉村です。日々の診療や手術、そして学会活動と慌ただしく過ごしていますが、このブログでは専門的な話をできるだけ噛み砕いて、皆さんの健康に役立つヒントをお届けしたいと思っています。
今回は、最近外来で本当によく聞かれる質問についてお話しします。
「先生、スマートウォッチから『不整脈あり』って通知が出たんです!」 「これって大きな発作の前触れですか?」「脳卒中になりますか?」「家族にすぐに病院に行った方がいいと言われた」と、さまざまな質問やご意見をいただきます。たしかに、こんなメッセージが出ると、不安になりますよね!
IT機器のおかげで便利な世の中になりましたが、一方でドキッとするようなことも出てきました。今回は、この最新技術との上手な付き合い方について解説します。

まず結論からお伝えします。ウェアラブル端末の通知は、病気を確定させるものではなく「精密検査を受けるためのきっかけ」と捉えてください。
ところで、スマートウォッチはどうやって不整脈を捉えているのでしょうか?その仕組みを簡単に言うと、時計が手首の血管の拍動を検出して、リズムの異変を疑う場合に通知を出すのです。
ただ、心電図と比べると正確性に劣ります。例えば、激しい運動で腕が大きく揺れたり、バンドが少し緩んでいたりするだけで、不整脈のアラームを鳴らしてしまうことがあります。
注意すべきポイントは、通知が来た時に「自分に自覚症状があるかどうか」です。動悸やめまい、胸の違和感などがあるなら、それはスマートウォッチの報告が正しい可能性が高いサインです。
逆に、自覚症状はないなのに不整脈の通知だけが出る場合は、一旦落ち着いてスマートウォッチを再装着し、再度アラートが出るかどうかみてみましょう。
それでも異常が出るなら、検査の必要な状態かもしれません。特に不整脈の中でも、脳卒中の原因となりやすい「心房細動」は、早期発見が非常に重要です。このようなことがきっかけで心電図検査などを受けて診断できたのなら非常に幸運です。内服薬だけでも大きな発作を未然に防ぐことができるからです。
こういった積極的な姿勢が現代の健康管理のコツだと思います。
もし異常がでたら、まずはその状況(運動中だった、コーヒーを飲んだ後だった、寝不足だったなど)をメモしましょう。その上で、もし通知が繰り返されるようなら、一度循環器内科を受診して、どんな状況でアラートが出たか報告し、病院の心電図など正確な検査で調べてもらってください。自分一人で画面を見つめて悩むより、専門医に相談するのが安心への近道です。
【一言】
最新技術は、私たちを守るためのサポーターです。通知が来たら「おっ、何かウォッチがアラート出してるじゃないか」くらいの気持ちで、ゆったり構えて対応してくださいね。
【参考文献】
Perez MV, et al. Large-Scale Assessment of a Smartwatch to Identify Atrial Fibrillation. N Engl J Med. 2019;381(20):1909-1917.
Lubitz SA, et al. Detection of Atrial Fibrillation in a Large Population Using Wearable Devices: The Fitbit Heart Study. Circulation. 2022;146(19):1415-1424.