コングレスでの講演 その1 「頚動脈プラークイメージング」佐々木真理先生

前回お話ししたように今回のコングレスで感銘を受けた講演は多かったのですが、そのうちのいくつかを紹介します。

まず紹介したいのは、最終日のランチョンセミナーの岩手医科大学放射線科 佐々木真理先生のご講演です。「頚動脈プラークイメージング」という題名で、私たちが精力的に取り組んでいるプラーク診断に関するご講演でした。
頚動脈が細くなると脳梗塞の原因になるため頚動脈内膜はくり術(CEA)やステント留置術(CAS)が行われるのですが、CASはプラークが柔らかいと治療後に脳梗塞を起こしやすいことが分かってきています。この柔らかいプラークをMRIで識別することが可能になっているのですが、実は非常に多くの検査法が開発され、どの方法がいいのか混沌としていますし、それぞれの施設で検査法が微妙に違うため比較することができません。
佐々木先生はこれまで報告された代表的な検査法をまとめて、標準的なMRI機器でプラーク診断ができるよう適正化されています。もちろんこのような試みは世界ではじめてです。この方法を用いると、世界のどこでも同じ条件で検査をすることで比較ができるようになるのです。

佐々木先生はさまざまな脳血管障害関連の検査法を標準化するご研究をされており、今回はプラーク診断に取り組まれたということです。それにしても明快なご講演であり、MRIシークエンスの詳細が分からない私でもすっきりと理解ができました。ちょうど私たちは多施設研究を開始しつつあるので、この撮影法を取り入れて行きたいと思います。

佐々木先生、素晴らしいご講演をありがとうございました。まさに世界をリードされている先生ですが、今後とも我々脳神経外科医へのご指導をよろしくお願い申し上げます。