動脈瘤のようなふくらみ - 「漏斗状拡大」とは何か?

脳ドックやMRI検査で「血管に膨らみがあります」と指摘されると、強い不安を感じると思います。しかし動脈瘤のように見えてそうではない、「漏斗状(ろうとじょう)拡大」という言葉をご存知でしょうか?

今回は、脳神経外科専門医の視点から、脳動脈瘤と漏斗状拡大との違い、そして「見極め方」、さらには放置して良いかどうかについて、最新情報を踏まえて解説します。


「MRIで脳の血管にふくらみがあると言われたのですが、すぐに破裂するのでしょうか?」 外来ではこのような相談をよく受けます。脳の血管に見つかる「ふくらみ」には、治療が必要な(囊状)動脈瘤と漏斗上拡大があります。これらはどう違うのでしょうか?

①:形の違い

それぞれ以下のように違います。

1:囊状(のうじょう)動脈瘤:多くは「血管の分かれ目が風船のようにふくらんだ」状態です。これが普通の脳動脈瘤、医学的に「囊状動脈瘤」といわれるもので、年間一定の破裂リスク(約1%)を持つコブであり、大きいものや増大するものは破裂リスクが高いため手術が行われています。また徐々に増大することがあり、その場合には破裂リスクが跳ね上がるため、最低でも年に一度の定期検査が進められています。

2:漏斗状拡大ふくらみの先端から細い枝が出ており、お醤油を集めるのに使う「漏斗」に形が似ていることからこのように呼ばれています。これまでは、単なる血管の個性的な形で即時的に出血することはないため、「放置して良い」とされてきました。しかし最近、この漏斗状拡大自体が動脈瘤に変化して破裂したり、漏斗上拡大から新たに動脈瘤が発生した例も報告されていて注意が必要です。

以上のように、囊状動脈瘤は手術などの予防処置が必要なことがあり、漏斗上拡大は即時的には問題ないため、血管に膨らみがある場合には、先端に枝があるかどうかを高性能な検査で見極め、どちらのタイプかを確定することが重要です。


②:先端の「枝」を確認する高精度の検査法

この二つを見分ける最大のポイントは、「膨らみの先端から、本来の細い枝が出ているかどうか」にあります。先端に枝があれば漏斗状拡大、枝がなければ動脈瘤ということです。

しかし、通常のMRI検査ではこの「小さな枝」が判別しにくいことが多いのです。そこで、より画質の良い検査が必要になります。 「3テスラ(高磁場)MRI」や「CTA(造影CT検査)」、あるいは「脳血管撮影(アンギオ検査)」といった高精度の検査を行うことで、膨らみの先端に枝があるかを確認でき、正確な診断が可能になります。


「漏斗上拡大」と言われたら?

ご自身の安心と安全のために、以下の3つの行動を提案します。

1:精度の高い検査を受ける: 3テスラMRIやCTAなど、画質の良い検査を受け、動脈瘤かどうかを正確に判定してもらいましょう。

2:定期検査を受ける:「漏斗状拡大」と診断されても、一生大丈夫とは言えません。変化を見逃さないよう定期検査を続けましょう。1)親族に脳動脈瘤やくも膜下出血を起こした人がいる、2)喫煙、高血圧、大量の飲酒など、脳動脈瘤の増大・破裂因子のある場合、には年に一度の定期検査を受けると良いと思います。

3:危険因子を管理する:上述の脳動脈瘤の増大・破裂因子、喫煙、高血圧、大量の飲酒などをしっかりと管理することは膨らみの悪化を防ぐ最大の予防策になりますし、他の成人病リスクも減らすことができます。


まとめ

「血管の膨らみ」が見つかっても、過度な恐怖を抱く必要はありません。しかし、一回の検査結果を過信せず、精度の高い画像検査を一度は受けて正確な診断を確定しましょう。またその後は、定期的な検査を受けるようにしてください。私たちが精一杯サポートします。

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