失敗しない血圧の測り方と血圧計の選び方

「血圧って家ではどんなふうに測れば良いの?」 「手首で測るタイプじゃだめなのですか?」 外来の診察室で、患者さんからよくいただく質問です。
自宅で血圧を測ってください、と言われても、道具選びや測り方のコツが分からないと、不安になりますよね。実は、血圧管理は、脳卒中を未然に防ぐ最も効果的な方法の一つなんです。今回は、皆さんが迷わず、そして無理なく続けられる「失敗しない血圧管理の極意」をお伝えします。

【血圧測定はどんな機械でどうやるの?】
まず、これから血圧計を買うなら、最も推奨されるのは「上腕式(腕にカフを巻くタイプ)」です。 心臓に近いところで測るのが一番正確で、私たち医師が脳卒中リスクを判断する基準も、この上腕式のデータに基づいています。
しかし、ここで一番大事なことをお伝えします。 「上腕式を持っていないから測るのをやめてしまう」くらいなら、手首式でも全く構いません!
血圧管理で大切なのは、毎日続けて「血圧の変動」を知ることだからです。もし手首式をお使いの場合には、一度その血圧計を外来に持ってきてください。自分の手首型の血圧計と病院の上腕型の機械とを測り比べ、数値のズレが少なければ使い続けてOKです。ただし、もし数値のずれが大きいなら、この機に上腕式を買いましょう!Amazonでも3580円など、お値打ちなものがあるようです。
また、ぜひ一度試してほしいのが「左右の腕での測り比べ」です。 もし左右で20mmHg以上の差があれば、血圧が低い方の血管に狭窄(狭まり)が隠れているかもしれません。そのような場合には一度医師に相談してください。そして左右のうち、「数値が高い方の腕」を今後の測定側にしましょう。
血圧測定のタイミングは「朝」が最重要です。 一日のうちで最も脳卒中リスクが高まるのは、朝の血圧上昇時です。
朝は、「起床後1時間以内」「排尿を済ませた後」「お薬・食事を摂る前」に測ること。この3条件を揃えることで、最も価値あるデータが手に入ります。

【大切なこと】
まずは「毎日血圧を測定すること」が大切です
続けるコツは、「血圧手帳」や、スマホの「血圧管理アプリ」を活用することです。血圧手帳は病院で無料でもらえることが多いですし、血圧アプリも無料版があります。
そして、その結果を外来受診のたびに毎回、主治医に見せるようにしてください。医師に見せることが、何よりのモチベーションになります。記録を持ってきていただければ、私たち医師もより正確な治療のアドバイスができるようになります。

【ひとこと】
血圧測定は、自分の体の「日記帳」のようなものです。道具の完璧さにこだわって三日坊主にするよりも、手近な道具で続けることのほうが、大切なのです。
一回だけとか、瞬間的な高い数字はまず問題ありません。連続して高い数値が出るようになったら黄色信号です。そんなときは、血圧手帳やアプリの記録を持って、医師を受診してください。無理のないペースで、健やかな毎日を続けていきましょう!

【参考文献】
1)日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2019
2)Stergiou GS, et al. 2021 European Society of Hypertension practice guidelines for office and out-of-office blood pressure measurement. Journal of Hypertension.
3)Clark CE, et al. Association of a difference in systolic blood pressure between arms with vascular disease and mortality: a systematic review and meta-analysis. The Lancet.