未破裂動脈瘤の治療法選択ー血管内手術(応用編)


次は血管内手術の応用編です。
脳動脈瘤のネックが広い場合には、そのままコイルを入れると正常な血管にコイルがはみ出てしまいます。
このため血管の中にもう一本、バルーンカテーテルという風船付きの管を入れてはみ出しをおさえます。
単純なテクニックですが、これが意外に有効です。

     

例えば、上の図の動脈瘤は、クリッピングの難しい脳底動脈瘤です。
先端部にブレブ(小さな出っ張りで、破裂しやすいポイント)が見えます。
こういった形の動脈瘤に普通にコイルを入れるとコイルがはみ出てきますが(左図)、バルーンで押さえることによって塞栓が可能になります(右図)。
英語でネックプラスティ(neckplasty:ネックを作る)と呼ばれています。
最近はこのテクニックを使って塞栓することがずいぶんあります。
風船にも色々な種類があって、上の図のように非常に柔らかくて血管に沿って広がるタイプのものが出てきました。
以前は極めて治療が難しいと言われていた動脈瘤が、わずかな時間で治療できるようになってきました。
医学の進歩はすごいですね。(^^)

コメント一覧

  1. より:

    Unknown
    初めて見ました。一般人にもわかりやすい説明のブログです。医療現場の生の声が聞けて非常に参考になりました。

  2. Jerr より:

    第一歩
    こんにちは 今日の診察でセカンドオピニオンを申し出ました。やはり、中々言いにくいものです。自分なりにセカンドオピニオンをして頂ける先生を探し出し、手術になった場合はどの方法か、、を決めていました。予防的手術なので どうしても 開頭手術 に対して抵抗があります。手術を受けるなら 血管内手術 に。しかし 主治医は「血管内手術は1~2%が再治療になる 手術中の瘤破裂に対応できない 開頭手術が完全です デメリットは入院期間が長いことと髪の毛を一部剃ること」「どちらにしても100%の安全はありません 」っと言われました。開頭手術を勧めます。やっとの思いで、「セカンドオピニオンさせてください 他の先生の話も聞いてみたいのです」っと言いました。 数秒 間がありました が、
    「わかりました。」紹介状とフィルムが一週間後になるそうなので、それらを持って 第一歩 を踏み出します。 岐阜に住んでいたなら 必ず先生に診ていただきたいです 残念ながら 東京です。
    これからも このブログで勉強します。吉村先生『勇気とアドバイス』をありがとうございました。

  3. C,C より:

    写真映像技術
    動脈瘤といっても形がいろいろあるのですねー。こんな微妙な部分が写真で読みとれるなんて MRIかCTか知りませんが その方面の進歩もすごいんでしょうね。ショートな文章も読みやすかったです。