脂質異常症の薬物治療 その2

前回お話ししたように脂質異常症にも色々なタイプがあります。
このため薬剤もそれぞれのタイプで違ってきますが、基本的にはコレステロールが高いのか、中性脂肪が高いのか、あるいはその両方かにより選ばれます。
一般的に最も有効性の高いものとして、悪玉コレステロールであるLDLを減らす薬があげられます。体中のコレステロールはLDLによって運ばれるので、これを減少させることが重要なのです。スタチン系、陰イオン交換樹脂、プロブコールなどがこのタイプのものです。
薬の種類は大変多いのですが、各薬剤の特徴を簡単にまとめます。

<主にコレステロールを下げる薬>

1. スタチン系(HMG-CoA還元酵素阻害剤)
 薬剤名:リピトール、リバロ、クレストール、メバロチン、ローコール、リポバスなど

 肝臓のコレステロール合成に必要な酵素((HMG-CoA還元酵素)の働きを妨げることで、血中のコレステロールを低下させます。悪玉コレステロールを下げる効果が最も高いため最も多く使われています。リピトールなどには中性脂肪低下作用もあります。善玉コレステロールを上昇させたり、脂質低下作用以外の抗動脈硬化作用も強力です。

 副作用:胃腸障害や筋肉痛(横紋筋融解症)など

2. 陰イオン交換樹脂
 薬剤名:クエストラン、コレバイン

 小腸内で胆汁酸と結合して、その排泄を促す薬剤です。体内の胆汁酸が減少すると、その不足分を補うためコレステロールが活発に消費され、コレステロールが減ることになります。LDL-Cを低下させるとともに、HDL-Cを上昇させる効果があります。
 副作用:腹部膨満感、便秘など

3. プロブコール
 薬剤名:シンレスタール、ロレルコ

 酸化されたLDL(悪玉コレステロール)が血管の内膜に蓄積するため、LDLの酸化を防ぐ抗酸化作用を持つ薬剤です。
 副作用:過敏症、胃腸障害、心電図異常(QT時間延長)など

4. エゼチミブ
薬剤名:ゼチーア

 小腸でのコレステロール吸収を抑制することでLDL(悪玉コレステロール)を下げる薬です。スタチンと併用されることが多く、スタチンとの合剤もあります。
 副作用:胃腸症状など

<主に中性脂肪を下げる薬>

1. フィブラート系
 薬剤名:ベザトールSR、リピディルなど

 細胞内の脂質合成に関わる蛋白の合成を抑制することで、中性脂肪を強力に下げる薬です。総コレステロールを下げる作用もあります。
 副作用:発疹などのアレルギー症状、また肝機能障害など

2. ニコチン酸
薬剤名:ペリシット

 トリグリセライトを下げる薬です。最近はスタチン等に併用されます。他の薬で下がらない成分を若干下げる作用があります。
 副作用:発赤、高血糖、高尿酸血症、痛風、上部消化管症状、肝障害など

コメント一覧

  1. M&Y より:

    低HDLコレステロール血症
    このブログを見て、初めて知りました。
    HDLコレステロール値が基準値より少ないのも異常だったんですね。
    月1で血液検査を受けていますが、中性脂肪、LDLは問題なし。なのに毎回低い。
    基準値を下回ると心血管疾患のリスクが高まるのも怖いので、もう一度食生活を見直し、運動不足を解消しなければと思っています。