脳動脈瘤 その32 脳血管内治療:その2 シースの挿入


さて今回は、シースという管をどうやって動脈に入れるのか、紹介します。

私たちが脈をとる時に触れる手首の血管も動脈のひとつです。ちょっと触れてみて下さい。トクトクと脈打っていますよね?これは、心臓がぎゅっと縮んで全身に血液が送られる時に、圧力がかかっているからなのです。ですから、動脈に穴が空いたら大変です。すごい勢いで血が吹き出ます。
ではどうやったら、そんな圧力のかかった血管に管を入れられるのでしょうか?

まず動脈に挿入する管に特徴があります。針先が2重になったものが使われるのです。
これを動脈にゆっくりと慎重に刺して、先端がしっかり動脈の中に入ったら外の筒だけを残して、中の筒を抜きます。
そうすると血液がビュッと逆流してきます。その状態で細いワイヤーを慎重に入れます。
ワイヤーが十分奥まで入ったら、指で押さえながら外の筒を抜きます。そしてワイヤーに沿わせながらシースを入れます。
最後にワイヤーを抜けばOKです!

どうです、分かりましたでしょうか?この手順を丁寧に行うことで、安定してカテーテル検査ができるようになったのです。
このシースは足の付け根の動脈だけでなく、肘の内側の動脈や手首の動脈などにも入れることが出来ます。

ただし手順が理解できても、すぐに入れられるようになるわけではありません。何度も練習して、やっと一回で入れられるようになるのです。最近では練習するキットもあります。
若手の先生たちには、ぜひ頑張って欲しいと思います。

さて、次回はこのシースから入れたカテーテルを頚部まで進めていく方法を紹介します。楽しみにして下さいね!

コメント一覧

  1. K より:

    Unknown
    素晴らしい技術です。細い血管の中にこんなにもいろんな器具が入ることは素人には考えられません。ここはまだ入り口ですが、なるべく短時間で終わらせることも必要でしょうし、
    たくさんの先生が習得され、いろんな病院でも受けられる治療になることを願います。

  2. まゆみ より:

    Unknown
    いつも勉強になります。
    私は、くも膜下出血と、同時に脳動脈瘤の
    クリッピング手術も行いました。
    後から家族から聞いたのですが、非常に
    危険な状況であったとの事でした。
    まだ、高次機能障害で悩んでいますが
    他の後遺症はなく、奇跡と言われてますが、
    本当は、担当の先生のお力と、吉村先生のように
    日々、新しい術式への挑戦と、絶え間ない努力の
    お陰なのですね。
    ありがとうございます。

  3. 吉村 紳一 より:

    まゆみさんへ
    くも膜下出血を乗り越えられたのですね。素晴らしいことだと思います。さらに良くなられることを祈っています。

  4. まゆみ より:

    Unknown
    ありがとうございます。
    手術して頂いた先生のおかげです。
    あと、看護師さん、リハビリ士さんのおかげです。

    今はまだ、てんかんの後遺症と闘っておりますが
    頑張ります。