脳梗塞の診断 頭部CT

久しぶりに本題に戻りました。
脳梗塞の続きです。
しばらくぶりで忘れちゃいましたね (^ ^;)

さて、唐突ですが、まずCTってなんでしょう?
意外と難しいですよ。
computed tomographyの略です。
コンピューターによる断層像ということです。
つまり脳を輪切りにして調べる方法です。
これが開発される以前は、脳の診断は極めて不確実で、出血も梗塞もなかなか分からなかったようです。
しかしこの方法が開発され、頭の中をごく短時間で確認できるようになったのです。
私自身は最近、このCTを「脳のレントゲン」と考えています。
外来でも何かあればすぐにCTを撮ってしまいます。
それで助かったことが、何度も何度もあります。
また紹介します。

さて、ここでクイズです。
CTでよくわかるのは出血と梗塞のどちらでしょう?

答えは、出血です。
なぜなら出血はCTで白く写ります。だからだれでもまず見逃すことはありません。
一方、梗塞は黒く写ります。まず灰色の脳の中で見にくい上に、発症後すぐには写りません。
通常「次の日になると見える」と言われていました。
だから脳梗塞急性期にCTをとるのは、出血を否定するだけだと…

しかし世の中偉い人がいるもので、「脳梗塞の早い段階にCTでも異常が見える」と言われはじめました。
初期虚血変化(early CT sign)というものです。
脳の中の皮質と髄質の境目(皮髄境界)が見えなくなったり、脳のしわ(脳溝)が見えなくなるというのです。
ただし!とても見にくい、わずかな所見です。
典型的パターンを覚えて、目を凝らして、、、やっと見えます。
でもCTさえあれば分かる。
外国ではCTしかない病院が多い。
日本はMRIがありふれているけれど、実は夜間や休日には撮れない施設も多い、救急施設でも(あ、言ってしまった…)。
だから大事なんです。このサインは。

次回、見てみましょうねー!