今月号の脳神経外科速報の対談は宮地 茂先生のインタビューをさせて頂きました。
宮地先生はずっと名古屋大学におられましたので、同じ中部地区ということでずっと一緒に活動させて頂きました。
先生は昨年から大阪医科大学に赴任されています。
まさかまた関西でお会いすることになるとは夢にも思っていませんでした。
この対談では先生が血管内治療を目指すきっかけや、その取り組み方が詳しく紹介されています。
ぜひご覧くださいね!
脳卒中に関する専門医の本音トーク 最新情報をやさしく解説します
今月号の脳神経外科速報の対談は宮地 茂先生のインタビューをさせて頂きました。
宮地先生はずっと名古屋大学におられましたので、同じ中部地区ということでずっと一緒に活動させて頂きました。
先生は昨年から大阪医科大学に赴任されています。
まさかまた関西でお会いすることになるとは夢にも思っていませんでした。
この対談では先生が血管内治療を目指すきっかけや、その取り組み方が詳しく紹介されています。
ぜひご覧くださいね!
<熱意の手>による「脳血管内治療の兵法」
血管内治療の有効性がデータとして明示されたとの<吉報>――
★「脳梗塞に対する血管内治療の有効性が確認されました!」(2015年2月13日)
★「Honolulu Shock, and Nashville Hope !」(2015年2月14日)
の記事に感銘を受けて一週間・・・
『脳神経外科速報』Vol.25(2015年2月)を入手し、
吉村先生が聞き手を務めていらっしゃる、
宮地 茂 先生の「私の手術論 no.73」
「脳血管内治療の兵法――Practical な知識の習得を」を拝読することができました。
宮地先生が「脳卒中をやっつけろ」に初めて登場なさったのは、
★「宮地先生がんばれ!」(2008年11月12日)でしたね。
「宮地先生はすごく優しい人で、名古屋大学でも慕う人がたくさんいるそうです。
私も親しくさせてもらってます!」
「私たちはこっそり『みやっちー』と呼んでいます。」
名古屋・岐阜時代から親交厚い宮地先生と吉村先生のこの度のご対談記事――
「日本の脳血管内治療の歴史を作ってこられた」宮地先生のお話が、
脳神経外科における名医誕生のドラマとして、(素人の私などにも感銘深い)
素敵な記事にまとめられています。
*
「生死に直結する厳しい環境のなかで、自分の力で助けるということの達成感や
生き甲斐について先輩から影響」を受けてこられた宮地先生――
「5人の師匠」から学び、「10人の指導医、16人の専門医」の方々とともに
歩んでこられた道程を、穏やかながらも熱く語っていらっしゃいます。
「血管内治療には未来がある」、
「物事を究めて道理を確かめる」、
「自分1人でやろうとせずに、協力してやっていくことが大事だ」、
「求められるのは practical な知識」・・・
脳血管内治療の発展における真理を穿つ名言の数々が織り込まれ、
国際的な視点から、
「The Japanese CAS survey」(2012年)などを通しての CASの有効性の提示など、
「欧米のエビデンスを鵜呑みにするのではなく、日本の独自性、優位性に立脚した
発表をしていくべき」ことが、果敢に訴えられています。
「血管内に携わっている人の数だけ見れば、たぶん世界一。技術も研究も十分
成熟していると思いますので、そろそろ世界に発信する時代が来ていると
思いますね。」
という吉村先生のお言葉とも相俟って、
新しい局面を迎えた日本の脳血管内治療の現在が力強く語られるとともに、
さらにその未来に向けて、
「いろいろな国際治験や先生方の努力で、デバイスラグも徐々に解消されて、
日本は世界でも最新の情報やデバイスを手にできる機会が得られるようになった。
みなさんで力を合わせて、さらにこの分野が発展していけばと思います。」
とのお言葉が、全国津々浦々の先生方に共有され、交響していらっしゃるのでは
ないでしょうか。
*
「1人の『神の手』よりも、標準的な知識、技術を持った多くの専門医を!」という、宮地先生の哲学と経験に裏付けられた呼びかけは、
同じ『脳神経外科速報』Vol.25 に掲載された
「脳血管内治療の兵法 宮地龍の戦略・工夫」
第一回「脳血管内治療のトレーニング」の「技術の習得」「戦略法の習得」
「チームとしてのトレーニングシステム」の各項に、
具体的な提言となって記されています。
脳血管内治療は、当初、「脳血管内手術」と呼ばれていたように、「外科手術」の
カテゴリーになるのですね。
「手術というものはそもそも侵襲的治療なのであり、その出来不出来は患者の
満足度にとどまらず、その人の人生や家族の幸せにも影響すると共に、術者本人の
信頼にもかかわる。」
という、「兵法」を述べられるにあたっての厳しい覚悟のお言葉に、素人の私も
震撼する思いです。
手術が失敗した場合の「自責の念」や「絶望感」にも言及された記述におののきながら、
脳血管内治療医が「要求される」事項のひとつひとつを、厳粛に拝読しました。
「脳という重要かつ脆弱な部位のカテーテルインターベンションを行う
脳血管内治療医たるものは、生命予後、機能予後に直結する合併症の発生を防ぐ
綿密な危機管理、たとえそれが起こっても耐え得る精神的タフさ、緊急性が
要求される忙しい環境のなかで、特殊技術を持つゆえに脳血管内科医、
脳血管外科医から頼られる存在であることをも喜びとする、かなりの覚悟をもって
仕事をせねばならない。それ以外にも、治療への高いモチベーションと確かな
技術は当然のことながら、バランスのとれた感性とコミュニケーションスキルも
脳血管内治療医には要求される。」――
脳神経外科医という職業の厳しさと素晴らしさを、改めて、想起しないでは
いられません。
*
「百聞は一見にしかず」、さらに「百見は一触にしかず」という、
宮地先生のトレーニング・ポリシーは、
「脳血管内治療において大事なことは、7割が戦略である。」とのご教示となって、
専門医をめざしていらっしゃる先生方にとられましては、文字通りの「金言」
となってゆくのではないでしょうか。
「質の高い標準的専門医を養成し、地域に多く配置することが今後の発展の
キーポイントであり、これは一人の『神の手』をつくるよりも、はるかに患者に
福音をもたらすと考えている。」――
「宮地 茂」先生のお名前は、「神のまつられている土地」で生命が「繁茂」する
という意味ですよね(笑)。
その宮地先生の<熱意の手>による「兵法」が、
脳血管内治療に従事なさる多くの先生方に伝えられ、引き継がれることによって、
脳卒中に苦しむ多くの方々の生命が救済されることを、確信してやみません。