脳梗塞編の続きです。
tPAを点滴しても開通しない時にはどうするか?
以前、「閑話休題」で紹介した「救済療法」を行うのです。
3時間以内にtPAを点滴しても詰まった血管が再開通しない場合、そのまま様子を見ていたらどうなるか?
我々の経験ではほぼ全例が高度の障害となってしまいます。
これについて我々の同門の施設である高山赤十字病院のデータをもらって検討中ですが、ほぼ同じ傾向のようです。
つまり1時間後に詰まったままだと非常に結果が悪い。
そこで私たちはtPAの点滴が終わっても血管が開通しない患者さんに対して、すぐにカテーテル治療を追加し、閉塞部で風船を広げることで血栓を破砕し再開通させる治療を試みています。
この治療で少なくとも半数の患者さんに再開通が得られて劇的に症状が改善することが分かってきました。
以上を総合すると、
全体の20-30%がtPAで開通する。
残りの70-80%のうち半分(35-40%)が救済治療で開通する。
合計すると55-70%で最開通が得られる、ということになります。
これぐらい効けば、いいのかもしれません。
この治療法をこれまで学会で発表してきたところ大きな反響がありました。
今回脳卒中学会でのプレゼンもこの治療を披露したためだと思っています。
国内のハイボリュームセンターのいくつか(多くの治療を手がけている東京、仙台、大阪の施設)に、我々の治療プロトコールを提供しました。
自分たちがはじめた治療が専門家に興味を持ってもらえる、その結果、これまでよりも多くの人が日本の各地で救われる。
非常に素晴らしいことです。
最近ではそれらのメンバーを中心にデータをまとめられないか、前向き試験でこの治療の有効性を確認できないかということを議論しています。
前に紹介した「科学的検証のための多施設前向き調査」です。
がんばらないと!
前向きですか
救済療法、もう前向き試験を考えておられるんですね。
先生の講演は何度も聞いていますが特にこの救済療法とプラーク診断の話が好きです。
っていうか先生の追っかけのように講演を聴いていますが、いつも惹き付けられます。どうしてそんなにお話しがお上手なんですか?自分の病院でも先生のやり方を真似て救済療法をやっています。でもこの間はバルーンが上がらず残念な思いをしました。腕が違うのでしょうけど、どう工夫したらいいですか?教えて下さい。