めまいと脳動脈瘤には関係があるの?
「最近めまいがあるので脳動脈瘤ができていないでしょうか?」と受診される方がいます。一方で、検査で脳動脈瘤が見つかったことをお伝えすると、「そういえば最近、めまいがひどいですが、脳動脈瘤が原因ですか?」とよく質問を受けます。
このようなことから本日はめまいと脳動脈瘤との関係について説明します。
そもそも「めまい」とは?
- めまいは、頭がぐるぐる回る、ふわふわする、立ちくらみがするなど、さまざまな感覚を含みます。
- 多くは内耳の異常(良性発作性頭位めまい症、メニエール病など)や、自律神経、低血圧などが原因です。
- しかし、まれに脳の異常が原因となるめまいもあります。
脳動脈瘤が原因で「めまい」が起こることはある?
- 脳動脈瘤が直接的にめまいを引き起こすことは、非常にまれです。
- ただし、以下のような状況では、まめいの原因が脳動脈瘤である可能性があります:
- 動脈瘤が脳幹や内耳に近い場所にある場合
→ 脳幹(延髄や橋)や前庭神経に圧迫が生じると、回転性のめまいを感じることがあります。
参考論文:Oishi M, et al. Neurosurgery, 2004:後下小脳動脈瘤が前庭神経を圧迫し、難治性めまいを引き起こした症例を報告。
- 動脈瘤の本格的な破裂前の軽度の出血症状
→破裂の前に軽度の出血(警告出血)が起き、頭痛やめまい、吐き気を伴うことがあります。
参考論文:Schievink WI, et al. N Engl J Med, 1997:くも膜下出血の20〜30%で、破裂前に軽い神経症状(めまいや頭痛など)を認めたと報告されている。
★ 一般的にはどう考えるべきか?
- めまいだけで脳動脈瘤を疑う必要はありません。
- しかし、次のような症状がある場合は注意が必要です:
- めまいに激しい頭痛を伴う
- 意識がぼんやりする、ろれつが回らない
- 手足のしびれや麻痺、ふらつきがある
- めまいが突然発症して長時間続く
参考論文:Edlow JA et al., JAMA, 2008:危険なめまいの鑑別として、脳卒中やくも膜下出血の除外が重要であると強調。
まとめ
- めまいの大半は良性であり、脳動脈瘤との関連はほとんどありません。
- しかし、
- 後小脳動脈瘤など特定の場所にできた動脈瘤では、めまいの原因になることがある。
- 破裂前の前兆としてのめまいは重要なサインになることも。
- 「いつもと違うめまい」「頭痛や神経症状を伴うめまい」などがある場合は、早めに脳神経外科を受診することが大切です。
いかがでしたでしょうか?この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。