
脳動脈瘤が未破裂で見つかった場合、「運動していいですか?」「登山していいですか?」などといったご質問は少なくありません。
最新の研究とガイドラインに基づいて、運動の可否や注意点を紹介します。
基本的な考え方
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未破裂脳動脈瘤があっても、基本的に運動を制限する必要はありません。
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実際、ヨーロッパ脳卒中機構(ESO)のガイドラインでも、
「日常生活および運動に制限を加えるべきではない」
と明確に記載されています(Sussman et al., European Stroke Journal, 2022)。
医学的な根拠とポイント
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軽度〜中等度の有酸素運動(ウォーキングや軽いサイクリング)は、血管の健康維持に役立ち「脳動脈瘤の破裂を減らす」とされてます。
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ただし、一時的に血圧が大きく上がるような運動(激しい筋トレ・いきみを伴う動作)は、慎重に行うべきとされています。
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高血圧・喫煙・家族歴がある方では、運動内容について医師に相談を。
主な参考文献・ガイドライン
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Sussman ES et al.
European Stroke Journal, 2022. DOI: 10.1177/23969873221099736
→ 「日常生活や運動の制限は推奨されない」と明記。脳動脈瘤患者にもQOLを保つ活動が推奨されている。 -
Wiebers DO et al., NEJM, 2003(ISUIA研究)
→ 軽い運動や日常動作が破裂リスクを高めるという根拠は乏しいと報告。 -
Hoh BL et al., Neurosurgery, 2009
→ 重いものを持ち上げるなど、一時的に血圧が急上昇する動作はリスク要因になり得る。
実際に注意したいポイント
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おすすめされる運動:
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散歩・ウォーキング
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軽い自転車こぎ
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ストレッチ・ヨガ
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水中ウォーキング
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注意が必要な運動:
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息を止める筋トレ(スクワット・デッドリフトなどの高負荷)
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高地での激しい運動(登山など)
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急激な血圧上昇を伴う運動全般
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まとめ
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未破裂脳動脈瘤があっても、運動は原則「制限なし」が現在のヨーロッパの指針です。
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ただし、安全な運動の種類を知っておくことも大切。
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動脈瘤の破裂リスクは個人差が大きいので、主治医や脳神経外科専門医に一度相談しましょう。