脳動脈瘤のある患者さんから「飛行機に乗っても大丈夫ですか?」というご質問をよく受けます。
今回はこれに関してお答えしたいと思います。✈️
✅ 結論から言うと:
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ほとんどの場合、未破裂脳動脈瘤があっても飛行機に乗ることは安全です。
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医学的にも、「飛行機に乗ることが動脈瘤の破裂リスクを大きく高める」という根拠はありません。
🔍 背景:なぜ飛行機が心配されるの?
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飛行機内は気圧が地上より低く(約0.7気圧)酸素も少ない環境になります。
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そのため、「血管に負担がかかって動脈瘤が破裂するのでは?」と不安に思う方がいるわけです。
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しかし実際にはどうなのでしょうか?
✅ 医学的な見解とエビデンス
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飛行機搭乗と脳動脈瘤破裂の関連はほとんどない、というのがこれまでの報告をもとにした医学的見解です。
📚 参考文献・研究
1. 未破裂脳動脈瘤患者における飛行機搭乗と破裂の因果関係の調査
- 結果:飛行機搭乗と動脈瘤破裂の直接的な関連性は認められず、搭乗は一般的に安全であったと記載されています。
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出典:Bryce Weir, et al. J Neurosurg. 2002 Nov;97(5):1011–1012.
3. 未破裂動脈瘤患者のフライト中の破裂症例の調査
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結果:フライト中の動脈瘤破裂は極めてまれであり、飛行機搭乗は一般的に安全であったと結論づけられています。
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出典:Elefteriades JA, et al. Ann Thorac Surg. 2002;74:1877–1880.
✈️ 一方、飛行機に乗るときの注意点は?
特に長時間のフライトでは、一般に下記のような注意喚起がされています。
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✅ 脱水に注意:機内は乾燥しているため、水分をしっかりとること。
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✅ アルコールは控えめに:(血圧や脱水に影響を与える可能性あり)
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✅ トイレに行く・足を動かす:長時間フライトでは血栓予防のために適度な運動をすることが重要。
⚠️ 医師への相談が必要な場合
以下に該当する方は、搭乗前に担当医に相談するのが安心です:
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動脈瘤のサイズが7mm以上と大きめ
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動脈瘤の形が不整形・ブレブ付き
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動脈瘤と診断されたばかりで不安が強い
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他の脳疾患を合併している
✅ まとめ
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未破裂脳動脈瘤がある方でも、飛行機搭乗は原則として安全と考えられています。
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ただし、長時間フライトでは、水分補給や血栓予防のための運動が大切です。
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不安が強い方は、主治医に相談するとよいと思います。
以上、ご参考となれば幸いです。