
こんにちは!脳神経外科医の吉村です。
「また頭痛が出た…」と鎮痛薬を飲んでやり過ごしている方、多いと思います。でも、心のどこかで「もしこれが脳卒中のサインだったらどうしよう?」と、小さな不安がよぎることはありませんか?外来でも「先生、いつもの頭痛と、脳卒中の頭痛の見分け方を教えてください」という質問を本当によくいただきます。
今日は、そんな皆さんのモヤモヤをスッキリさせる「頭痛の見極め方」について、脳卒中専門家の視点からやさしくお話ししますね。
その頭痛、「いつもの頭痛」?それとも「危険な頭痛」?
結論からお伝えします。一番大切な見分けポイントは、痛みの「現れ方(スピード感)」です。
1. 慢性頭痛は「いつもと同じようなリズムでやってくる」
片頭痛や筋緊張性頭痛は、 以下の特徴があります。
- 偏頭痛の場合には「あ、またいつもの感じがきたな」と予感がある。また、目の前にキラキラ、ギザギザが見えてから痛くなる、などの特徴がある。
- 筋緊張性頭痛は数時間から数日かけて悪化したり、肩が凝るような作業をした後にじわじわと起きます。
これらは、脳の血管が広がったり、筋肉が凝り固まったりすることで起こる「機能的な頭痛」で、命に直結することはほぼありません。
2. 脳卒中の初発症状「危険な頭痛」
一方で、私たちが特に警戒する「危険な頭痛」は、脳卒中の初発症状です。この場合、「今まで経験したことがないような頭痛」と表現されることが多く、基本的に「突然起きるもの」です。特に以下の二つは、脳卒中の初期症状として見逃せないサインです。
2-1. 本格的なくも膜下出血の前の「警告サイン」
「バットで殴られたような激痛」がくも膜下出血の代名詞で、もしこんな頭痛であれば、誰もが「この頭痛はヤバい!」と思い、病院に行くと思います。ただ、その強い頭痛の前に「警告出血」と呼ばれる軽い頭痛が生じることがあります。これはわずかな出血によって起こるとされています。 例えるなら、ダムが決壊する前に、壁に小さなヒビが入って水がチョロチョロ漏れ出したような状態です。このような時にサッと病院に受診することができれば、脳の損傷がない状態で治療できるため、極めて有利です。この警告サインによる頭痛の特徴を挙げておきます。
- 突然の発生:何時何分とはっきり言える、急激な始まり。
- 消えない痛み:数日から数週間、スッキリしない違和感が続く。
- 目の異変:まぶたが下がる、物が二重に見える(神経への圧迫)といった症状を伴うこともある。
2-2. 解離性動脈瘤:血管の壁が裂ける痛み
脳の「動脈解離」による頭痛も要注意です。動脈解離とは血管の内壁が剥がれている状態で、血管が詰まったり(脳梗塞)、破裂する(くも膜下出血)するリスクがあります。
- 突然、片側のうなじや後頭部に走るような痛み。
- めまい、ものが二重に見える、ふらつき、といった症状を伴うことがあります。
ここに挙げたような症状は本格的な出血前の「警告」かもしれません。少しでも「いつもと違う」と感じたら、迷わず脳神経外科・脳卒中専門医を受診してくださいね。
受診時に伝えるべきこと
危険な頭痛を認識して病院に行く際、自分でできる一番の行動は「頭痛の様子を記録しておいて見せること」です。
ノートでもスマートフォンへの記載でも構いません。
- いつ起きたか
- どんな痛みか(ズキズキ、締め付けられる、突き刺さるなど)
- これまで経験した最大の痛みを10段階として、今回はどれくらい痛いか
これらをメモしておくだけで、医師は頭痛をより正確に判断できるようになります。
最後の一言
軽い頭痛であっても、「これくらいで病院に行くなんて大げさかな?」なんて思わないでください。
「突然かどうか?」を重視して、「いつもと違うかもしれない」といった直感を大切にしてください。検査して異常がなければ、それはそれでいいのです。でも、本当は「危険な頭痛」なのに検査をしなかったら、後悔することになりかねません。
いかがだったでしょうか?怖い頭痛の特徴、わかりましたか?
わからないことがあれば、ぜひコメントやメールなどで連絡してくださいね。みなさんの毎日が、健康で心地よいものであることを祈っています。
参考文献
- 日本頭痛学会 編. 「頭痛診療ガイドライン2021」
- 日本脳卒中学会 編. 「脳卒中治療ガイドライン2021」