未破裂動脈瘤の治療法選択ー血管内手術(基本編)


<動脈瘤にマイクロカテーテルを留置してコイルを入れているところ>

さて今度は血管内手術についてお話しします。
この治療法は、脳血管撮影で紹介したように、足の付け根の大腿動脈(だいたいどうみゃく)から管を入れて行います。
その管の中にマイクロカテーテルというさらに細い管を通して、動脈瘤の中まで入れるのです(上の図)。
そしてコイルを入れていけば、動脈瘤はつまってしまい、出血しなくなります。

動脈瘤の入り口の部分をネックといいます。
ネクタイのネックと同じで、「くび」という意味です。
医学的には「頚」とか「頸」という字を使い、「頚部(けいぶ)」などと言ったりします。
以前に「ネックが狭い動脈瘤はコイルによる塞栓術に適している」と紹介しましたね。
ネックが狭ければ、上の図のように動脈瘤の中に入れたコイルがはみ出てくることがなく、安全につめられるからです。
うまく行くと30分もかからずに局所麻酔で治療が終わります。

自分が大学院生の頃、もう10年以上前ですが、手術の難しい脳底動脈瘤の塞栓術を依頼されて30分で終わった時、「ネックの狭い動脈瘤のほとんどが血管内手術で治療されるようになる…」と予感しました。
術中も術後も患者さんは普通に会話が出来る状態で、その日の夜から新聞を読んだりできます。
ネックが狭い場合には、「脳に触れずに治療が出来る」この治療法の方が良いのです。
ただし、ネックの広さだけでなく、動脈瘤にいたるまでの血管の動脈硬化や蛇行なども大事な条件です。
信頼できるドクターとよく相談してください。

一方、ネックが広くても血管内手術を選択する場合もあります。
それは開頭手術が難しい場合です。
次回はそのテクニックについて紹介します。

コメント一覧

  1. Jerr より:

    奈落の底
    はじめまして。お忙しい中このようなブログを作って
    頂き とても嬉しいです。何故なら 私は現在45歳女性です 2年前脳ドックで未破裂脳動脈瘤3ミリが見つかり 手術の話が 出ていました。その後3D-CT検査の結果 ロート状拡張 の診断が出て担当医からは80%大丈夫だろうと、、言われました 安心しておりましたが 2年経って主治医が退職し担当医が変わりました。『見識の相違としか言いようがありませんが、動脈瘤に間違いないと思います、、。』

    年齢が若いので 余命までの破裂率が高いこと
    出来た場所が 後交通動脈 とのことで 再び手術
    を勧められています

    そんな馬鹿な、、、っと、再び奈落の底へ突き落とされた気持ちでいっぱいです
    脳外科の先生によって 見識とはそんなに代わってしまうものなのでしょうか
    また、本当に3ミリ 後交通動脈 年齢 で手術が
    必要なのでしょうか 経過観察 ではだめなのでしょうか この2年間 無事過ごせていただけに 即手術の必要性が理解できません

    ご助言頂けたら 幸いです

    このようなブログに出会えた事
    嬉しくもあり 心の支えになっております
    益々のご活躍願っております