今回私が感銘を受けたコングレスの講演のうち、3つめを紹介します。
脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血になることが知られていますが、なぜ破裂するのかについては、いまだに明らかになっていません。ただ、動脈瘤の中には血液が流れているので、血流の当たり方や流れる具合によって壁が薄くなって破れるのではないかということは推察できます。
最近、この動脈瘤の中の血液の流れをコンピューターでシミュレーションすることが出来るようになってきて、破裂しやすい動脈瘤が明らかになるかもしれないため大変注目されています。
東京慈恵会医科大学の高尾洋之先生は、このコンピューターによる瘤内血流解析に関するご講演をされましたが、そのプレゼンが素晴らしかった!見事な動画に感動してしまいました。
高尾先生は脳血管疾患の診療サポートツールである「i-Stroke」も開発されており、注目されています。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/it/news/201005/515208.html
スピードが要求される脳卒中診療においては、i-Strokeのようなシステムの導入がますます重要な役割を果たすようになると思いますし、近い将来、CFD解析で破裂しやすい動脈瘤とそうでない動脈瘤が判別できるようになることを期待しています。
今回のコングレスの講演には素晴らしいものが多かったので、とても全ては紹介しきれません。マイクロ練習に関する富士脳研の井上智弘先生のご発表、微小解剖セミナーでの高橋 淳先生のご発表にも感銘を受けました。まだまだ紹介したいものがあるのですが、まずはここまでと致します。
同じフィールドで活躍されている先生方のご発表に触発されたコングレスでした。