マトリックスを使った塞栓術をあの後2例に行いました。
一例めは前回紹介した症例です。
それを含んだ3例について感じたことをまとめます。
今回は専門家向けです。
コーティングしてあることによる摩擦がマトリックスのひとつの特徴です。
これをうまく使うと、壁にへばりつく感じでコイルを留置することができます。
これまでのどのコイルよりも意図的に偏った位置への留置が可能ということになります。
つまり動脈瘤からの分枝が温存することができるということになります。
一方で、コイル同士の摩擦があることは、コイルが自然に動脈瘤全体に広がるのを難しくします。
このためにマイクロカテーテルの位置をこまめに補正する必要があります。
もし補正が難しい場合、完全塞栓が難しいということになります。
不完全塞栓ではいくらマトリックスでも治癒率が低くなってしまいます。
つまり、この3例を通して「マイクロカテーテルの位置補正ができる状況でこそマトリックスの真価が発揮される」ことがわかりました。
上の図は3例目の患者さんです。
かなり良い塞栓にみえますが、自分としては矢印の部分にもう少しコイルを入れたかったと思います。
組織化コイルの力で完全治癒すると良いのですが…
ダブルカテーテルなどのテクニックが一つの解決策になると思います。
次回はその方法でやってみます。