オランダのランダム化試験MR CLEAN論文化!


私たちが積極的に取り組んでいる急性期脳梗塞に対する血管内治療。
昨年のホノルルの学会で3つのランダム化試験で効果が証明できず、その衝撃を「ホノルルショック」と名付けました。
このため私たちのRESCUE-Japan研究を含め、世界中でランダム化試験が行われてきましたが、オランダのランダム化試験で有効性が示されました。
http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1411587

この試験はMR CLEANという名前で、発症後6時間以内の患者さんを対象に行われました。
その結果、血管内治療群では予後良好患者さん(症状なし~軽度の障害)が対照群の1.6倍になっています。

ようやく一つ、血管内治療の有効性を示すデータが出ました。
ただし、これまで3つの否定的結果が出ているため、複数の試験で証明される必要があります。
一人でも多くの患者さんがこの治療を受けられるようにするため、私たちの研究も続行し、科学的証明のために全力を尽くしたいと思います。

コメント一覧

  1. はまゆう より:

    「ミクロの決死圏」にミラクルを!

    この度、急性期脳梗塞に対する血管内治療の有効性が、データとして示された
    とのこと・・・本当に良かったですね。

    血管内治療によって劇的に快復する患者さんがいらっしゃる一方、
    海外のデータでは、血管内治療の有効性を<裏切る>結果が示されていた
    とのことでしたので、
    今回の記事を拝見して、心よりお祝いを申し上げずにはいられません。

    もちろん、吉村先生が記していらっしゃるように、

    「ようやく一つ、血管内治療の有効性を示すデータが出ました。
    ただし、これまで3つの否定的結果が出ているため、複数の試験で証明される
    必要があります。」

    ・・・今後ますますのご研鑽が求められているということなのですね。

    「一人でも多くの患者さんがこの治療を受けられるようにするため、私たちの研究も
    続行し、科学的証明のために全力を尽くしたいと思います。」

    ――情熱あふれる先生方の挑戦に、心よりのエールをお送りします。

                      *

    ★「ホノルルショック」(2013年11月5日)に、
    急性期脳梗塞の「治療結果を改善するために3つの重要な条件」として挙げられていた

       1.再開通するまでの時間の短縮
       2.開通度の向上
       3.適合する症例の選択

    先生方の精緻な医療技術、進化するデバイス・器機類、連携医療の成果によって、
    これらの要件が満たされ、<ジャパン・ミラクル>が引き起こされることを
    信じてやみません。

    これまでも<奇跡>の治療実績を挙げていらっしゃるわけですから、
    きっと、きっと、血管内治療の有効性が証明されることでしょう。

                      *
    ところで、
    吉村先生の「脳卒中をやっつけろ!」で、血管内治療という<奇跡の治療>について
    ご教示いただき、素人の私が想起したのは、
    『NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体』という四半世紀前の番組でした。

      「地球に元始生命が生まれて35億年。人体は60兆もの細胞から成る進化の結晶
      である。その数は銀河系の星々の数百倍にも匹敵し、あたかも宇宙のように
      ひとつひとつが有機的に相互に結びつく。最先端の科学の成果をもとに、
      生命の神秘に斬新な映像表現で迫るシリーズ」

    と、「NHKアーカイブス 番組公開ライブラリーリスト」に紹介されています。

    ミクロコスモスとマクロコスモスの繋がりには、神秘的なロマンが感じられ、
    人体という宇宙を旅する気分――血管内を縦横無尽に旅することができるかのような
    気分を連想したのです。

                      *

    血管が詰まったのなら血栓を取り除けばよい、という理にはかなっているものの、
    要件を満たさなければ弊害も生じるのが血管内治療――。

    その困難を乗り越えるには、
    医師が直接、血管内に入って治療が可能になればよいのに・・・

    そのような空想のもと、
    『ミクロの決死圏』(原題:Fantastic Voyage 1966年 アメリカ合衆国)という
    SF映画も想起されたのでした。

       冷戦時代、アメリカ合衆国に亡命した東側の科学者が、スパイに襲撃され、
      脳内出血を起こし意識不明となります。その科学者の命を救うには、
      医療チームの乗る潜航艇をミクロ化して体内に注入し、脳の内部から治療する
      方法しかありません。物質をミクロ化するのは1時間が限界で、その時間を
      延長する技術を有するのが、患者である科学者なのです。すなわち、1時間以内に
      手術を完了しないと、患者は死んでしまい、ミクロ化の時間を延長する技術も
      失われてしまうということになるのです。

    映画の展開・結末はここには記しませんが、
    “ Fantastic Voyage ”(空想的・幻想的・素晴らしい旅)という原題は、
    まさに言い得て妙ですね。

    全身全霊の医療行為がもたらすロマンが、彷彿として心に残ります。

                      *
    あたかも、
    名医が患者の体内から医療行為をおこなっているかのような血管内治療――。

    <奇跡の治療>に適合する症例として、おひとりでも多くの患者さんが
    救われますように。

    RESCUE – Japan 研究に従事なさっていらっしゃる、
    先生方おひとりおひとりのご研鑽の成果として、<奇跡の治療>の有効性が
    データとしても見事に示されますよう、心よりお祈りしています。

             「ミクロの決死圏」にミラクルを!