二刀流の功罪 その2

さて、もう一つ付け加えたいことがあります。
それは一刀流の良い点です。

私自身は偶然自分のおかれた環境で両方の治療を手がけることになりました。しかし世の中には一刀流を極めている方が多くおられます。

私が血管内治療をはじめた頃、当時の血管内治療の達人たちは、治療の限界にチャレンジしていました。例えば、新たなコイルや塞栓物質を開発したり、バルーンカテーテルを動脈瘤の塞栓に併用するなど、思いもつかなかった新しい技術は、血管内一刀流の達人によってもたらされたものです。また稀な動静脈シャント疾患などに対する知識は、血管内一刀流の医師が抜きん出ていると痛感します。一つの治療をとことん突き詰めようとすることから進歩や知識の深まりが生まれるように思います。

また外科手術においても、惚れ惚れするようなメスさばきをされる先生、解剖学的に難しい位置の病変にアプローチされる先生、新たな手術法を開発される先生など、外科手術の達人は本当に凄いと感じます。やはりレベルの高い外科手術は安全性と治療効果が極めて高く、脳神経外科疾患の治療の基本です。ですから、それと同等以上の効果がある場合にはじめて血管内治療を考慮すべきではないかと思います。

手術治療が主体であった領域が、新たな技術の導入で徐々に変わりつつある、そんな過渡期であるため二刀流が注目されているのかもしれません。

今後、何年かが経過した時点で、
・二刀流が複数存在する施設が良いのか?
・それぞれの一刀流がそろった施設が良いのか?
どのような評価になっているか、とても興味あるところです。

それまでの間、両者がそれぞれ高みを目指し、切磋琢磨していけば良いのではないかと考えています。

コメント一覧

  1. katsu より:

    一刀流
    私は(多分)一刀流の素晴らしい先生に治療を受け、元気にしています。このブログにも出ていらした有名な先生です(お名前は控えます)。感謝しております。

  2. Ken より:

    再送
    すいません、脳外科についてもっと知りたいと思い、具体的にコメントしすぎました。近いうちにメールさせて頂きます。

  3. デコピン より:

    Unknown
    先生の場合、外科手術と血管内手術の比率は、だいたいどれぐらいでされているんでしょうか?
    友人のお姑さんが、地元でクリップ手術後、失明したと聞いたことがあります。こういうことは、どれぐらいの確率で起こり得るんでしょうか?
    差し支えなければ、先生の近年の手術の場合でも、結構なんですが。