危険な頭痛:その1

みなさん、危険な頭痛があるのはご存知ですね?
そう、頭が痛くなると、何か大変なことが起きているのではないかと心配になります。
でも放っておいたら治ってしまうことの方が多いですよね。
ではどんな頭痛が危険なのでしょうか?

危険な頭痛としてまず最初に紹介すべきもの…
それは「突然の激しい頭痛」です。
私は頭痛で受診された患者さんに、必ず「急に痛くなりましたか?だんだん痛くなりましたか?」と尋ねています。
「急に」といっても色々あって、「昨日までは頭痛がなかったんだけど、今日急に痛くなった」という言い方をされる方もおられます。
このため私は「痛くなった時刻を特定できますか?」ともう一度お尋ねします。
そこで患者さんが「テレビを見ていたら急にハンマーで叩かれたように痛くなりました」とか、「これまで経験のない激しい痛みが料理中に起きた」、「寝ていたら急にガーンと痛くなり、目が覚めた」などというお返事があった場合には、緊急CTを行います。
なぜでしょうか?
それはくも膜下出血の可能性があるからです。
以前に説明しましたが、くも膜下出血は脳の血管の一部がコブのようにふくらんで、破裂することによっておきます。血管の一部に穴があいているわけですから、再度出血することが多く、その場合には命に関わるのです。
ですから、「突然の激しい頭痛」があった場合には、何を差し置いてもすぐに病院にかかってください。救急車を呼んでも良いと思います。

くも膜下出血の典型的な発症パターンは、「これまでに経験のない激しい頭痛が突然に起こり、吐き気や嘔吐の後、意識が遠のく」というものです。
実際に発作を起こした患者さんたちの証言を集めると、これに似たパターンが多いのは事実です。しかし、現場ではこういった典型例だけではありません。軽い頭痛のこともありますし、吐き気がなかった、意識も何ともなかった、という方もおられます。
ですから、「時刻を特定できるような突然の激しい痛み」を自覚された場合にはすぐに病院に行ってください。検査で何もなければ、それはそれでいいのですから。

コメント一覧

  1. なかもと より:

    Unknown
    くも膜下では頭痛があるのは理解できるのですが、なぜ吐き気や嘔吐がある方が多いのですか?
    私は動脈解離で入院した際、ストレッチャーで運ばれてる振動ですごく吐き気がひどくて。元々乗り物酔いがひごいからなのかと思っていたのですが、そうではないのですね。

  2. モリピン より:

    くも幕下出ついて
     先生のHP参考になります。先日、私の退職前の同僚から相談があり頭痛が朝からしているとの相談で電話ではわかりませんでしたが最悪のことを考えて脳外科のある病院へ奥さんとに行くように答えたところ診察時間外でしたが指示したN病院でCTを取りそのまま救急車で大学病院へ、江頭先生の緊急手術で一命を取り留め17日に元気に退院しました。私を含め脳外科の皆さんには感謝しています。先日のバンキシャも拝見しました。
     本日、MRIを予約していたN病院より連絡がありました、7月3日に今後のことについて相談に行きますよろしくお願いします。

  3. えらちゃん より:

    脳室内出血
    昨年夏に、出産後一ヶ月で脳室内出血を起こしたモヤモヤ患者です。

    「その時」は、寝ている時に突然やってきました。初めての痛みに驚きつつも、落ち着こうと思って水を飲んだら戻しました。
    救急車を呼ぼうかとも思いましたが、かかりつけの病院が近いので119番するよりも早いかと思って自家用車で救急へ。時間も時間だったので、近所迷惑にならないかと考えちゃいましたね~。
    救急車の乱用…本来使うべき人が、救急車の要請をためらってしまう…こういう影響も出ちゃうんだなと。

    でも、自分のカルテがある病院に行く事ができて良かったと思います。地域の拠点病院なので、他に回される事はないと思いますが、持病(難病)のかかりつけでない病院に搬送される事もありますよね?そういう時は、後々に連携を取られたりするんでしょうか?
    ふと、そう思いました。