まず最初は脳動脈瘤についてお話ししたいと思います。なぜなら、この病気は極めて多くの方に見つかり、治療するかどうか悩んでいる人が多いからです。このためこれからしばらくの間は脳動脈瘤とそれに関連する様々な事柄を、紹介していきます。
脳動脈瘤はたった一つの病気でありながら、関連する情報は膨大です。一つずつ、お話ししていきますね。
脳動脈瘤というのは脳の動脈がぷっくりとふくれた状態のことを指します。ふくらむだけでは通常は症状は出ません。しかし、チューイングガムや焼き餅のように、ふくれるほどその壁は薄くなります。そして、ふくらんでいるのは動脈ですから、ドクンドクンと脈打っています。動脈の圧力はとても高いので、どんどんふくらんでいくと、最終的には「パーン!」と破裂してしまいます。(ちなみに動脈の圧力のことを「血圧」と言います。)
テレビのドラマなどで、首を切るケガをするとすごい勢いで出血する場面があります。おそらくみなさん、「大げさだなぁ。あんなに出血するはずないだろう!」と思われますよね?私もそう思っていました。しかし、あれは実は誇張ではなく、本当なのです。動脈の中の圧力はそのぐらい高いですし、脳に行く血液量はすごく多いのです。
では脳の動脈がふくらんで、破裂したらどうなるのでしょうか?そう、激しい頭痛を来たしたり、意識を失ってしまいます。多くの方はとても大変な状態になってしまうのです。
脳の動脈は、「くも膜」という半透明の薄い膜の下を走っています。白っぽくて薄く透けているので、たしかにクモの糸で出来ているような感じの膜です。その膜の下に出血するので「くも膜下出血」と言われるのです。
「なぜ、大変なことになるのかの説明になっていないですよ」という声が聞こえてきそうです。そう、その理由は、『出血の勢いがとても強いから』なのです。私たちの頭は一見、大きなものですが、実は脳が収まっている部分の容量はそれほど大きなものではありません。しかもその中には私たちの脳がしっかりと収まっていて、隙間はわずかしかないのです。そこに勢いよく出血すると、圧力が一気に高まってしまうのです。出血が続けばいずれその圧力は動脈の圧力と同じぐらいまで上がります。そうすると脳の中に血液が入らなくなってしまい、脳に血液が行かなくなる…というわけです。
まずはここまで。ちょっと怖い感じになってごめんなさい。
それでは次回は動脈瘤というものについてもう少し詳しくお話しします。
ちなみに今日は、福岡に来ています。今から手術の指導です。頑張ります!
脳ドック受診年齢について
脳ドックは何歳から受けたほうが良いのでしょうか?
また、毎年受けるべきなのでしょうか。
Unknown
原点に戻って改めて解説されるんですね。元のブログも脳動脈瘤から始まっていましたよね。8年前に読んでいたのを思い出したりしていました。私が先生の治療を受けて、今月でちょうど8年が経過しました。早いものです。
昨年のブログで、「忘れられない患者」も拝読しました。文章から当時お母様とは別居されていた様ですが、先生の目の前で発作を起こされたというのが、私には単なる偶然には思えず、エッセイの本来の趣旨とは違うとは思いますがとても印象的でした。
MRKさん
お久しぶりです。お元気ですか?
この領域もどんどん進歩しているので、改めて解説することにしました。よろしくお願いします。
大ちゃんさんへ
いつ受けるべきか、明確なラインはないように思います。ただ、50歳以上で脳動脈瘤の患者さんが増えることから最低でも50歳代、高血圧や家族歴のある人は早めが良いと思います。