未破裂動脈瘤の治療法選択ー血管内手術(近未来編)その3

動脈瘤の再開通を防ぐコイルのお話の続きです。
前回紹介した「目からウロコ!」のコイルについて紹介しますね。
そのコイルはハイドロコイル(Hydrocoil)という名前のコイルです。
アメリカのMicroVentionという会社が作っています。
コイルに吸水性のポリマーがコーティングしてあり、コイルが血液と触れると徐々に膨張してくるのです。
ですので、前回紹介したようなルーズな塞栓であってもコイル自体がふくれて容積を増すために最終的には十分な塞栓になるというスグレものです。
百聞は一見にしかず。
動画が以下のサイトにありますのでぜひ見てください。

コイルの膨らむ動画
http://www.healthmedia.ca/3danimation/03hydrocoil14.htm

ハイドロコイルを使った塞栓術の動画(英語のナレーションでちょっと長いですが、最後まで見てくださいね)
http://www.healthmedia.ca/3danimation/03MVIhydrocoil.htm

どうでしたか?すごいでしょう!
コイルをつめる様子もよくわかりましたね。
昨年ニューヨークを訪れた際には、ルーズベルト病院ではこれをほぼ全例に使って動脈瘤の塞栓を行っていました。
日本ではテルモが輸入するとのことです。
早く認可をとってほしいですね。

実は自分が国立循環器病センターのレジデントだった頃に、塞栓物質にこういったポリマーを使うという発想を持っていました。
当時のチーフの風川先生(現福岡大学)の指導のもと動物実験をしたこともありましたが、「アクリルアミドなどの物質は発がん性などの長期安全性が確保できない」という考えで、人間に使用するのは当分は無理そうだと、あきらめてしまいました。
しかしそれを乗り越えてくる人(企業)があるんですね。
しかもコイルにコーティングして体積を稼ぐとは!
拍手喝采!

動脈瘤の塞栓術後の再開通は、やはり塞栓物質の体積率をあげるのが最も効果的との見解が主流です。
しかもハイドロコイルでは、そのコーティングが膨らんでくるまでは、塞栓中のコイルの滑りなどにも問題がない!
これらの観点からすれば、このコイルは理想的とも言えます。
早く使いたい…(^0^)/

実は年内にこういったコイルが日本で使えるようになる可能性もあると予測しています。
楽しみですねー!

コメント一覧

  1. hira/i より:

    今の医療は素晴らしいです
    ドキュメント番組で神の手と呼ばれてる先生方。コイルとかもよく耳にします。そういったものが更に進化して行くと考えると、難病といわれる病気も減ってくるのだろうと期待されます。

    こないだ術後二か月目にして、やっと髪を切りに行きました。

    私の頭をまじまじ見た美容師←行きつけです が一言!

    「今の医療はすごい!なんで傷跡から毛が生えるの~!!どこの病院?」と。

    その美容師は理毛に力を入れているので、手術で髪にダメージを受けた方や、髪がなくなった方のカツラと自毛との調整も数多くされていて、傷のある頭はよく見ているからこその驚きらしいです。

    あと脳腫瘍←良性との事 に悩む知り合いがいます。このブログ教えていいですか?

  2. リンクさせていただきました
    はじめましてm(_ _)m
    海外の医療情報をまとめたサイトを
    運営している さくら と申します。

    とても勉強になるブログで
    いつも楽しく拝読しています。

    そしてこのたびハイドロコイルについて
    記事を書きましたので勝手ながら
    貴サイトをリンクさせていただきましたm(_ _)m

    今後も脳卒中の本音トーク、
    楽しみにしています♪

    PS 私も岐阜県の暑~い市の出身です^^